原発事故の後で見る岡本太郎「明日の神話」

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なんとなく、通勤帰りの渋谷で途中下車してみました。 岡本太郎の「明日の神話」を、今あらためて見たかったのです。

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この作品は、原子爆弾を描いたものです。 そしてその悲劇から復活するたくましい人間の姿を描いた…ということなのですが、 今見ると、この中央からほとばしる禍々しくも圧倒的なな力、 そして中央の骸骨は、もちろん通説通り焼かれてもそこから立ち上がっていく人間、 …の様にも見えますが、 今福島でまさに暴れている、圧倒的な力の発現である死神のようにも見えます (焼かれていく人間たちなら、 この骸骨の右にも左にもまだたくさん小さく描かれているのです)。

振り返ると、この骸骨がガラスに映り、 節電で暗くなった渋谷のハチ公前交差点を歩く人々の頭上に重なります。 もし、節電されていなかったら、 これほどはっきりと骸骨が映りこんで見えることもなかったでしょう。

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この骸骨は、これから人々の上に死をもたらす存在なのか、 あるいはそこから立ち上がる人間の力となるのか。 それを考える場として、まさに渋谷のこの場所にこの絵があることは、 偶然とは言え貴重なことではないかと思います。 これからは、我々がこの絵に意味を与えていくのかも知れません。