さて、今日は Avex から、コピー防止 CD (モドキ) がはじめて発売になる日です。 私のコピー防止 CD に関する意見は、2 月 5 日に書いた通り、 営業努力よりも、CD の正規ユーザにのみ損害を押し付けるということを選択した、 消費者をバカにした非常に腹立たしい愚策である、ということですが、 実際に発売された以上、本当にコピーができないのか、 私の CD の利用法にどの程度影響するものなのかが、興味あるところです。
ということで、ヒトバシラーとして買ってきました。 BoA『Every Heart -ミンナノキモチ-』です。 まずは、こんな文句が表に張ってあります。 「この CD はコピーコントロール CD です」とのこと。 「Macintosh ではオーディオトラック、エクストラトラックともに再生できません」 …だそうな、 iPod ユーザとしては、全くふざけんなよー、という感じですが、 そうまで言われると実際に試してみたくなるのが人情というもの (^^;。
裏にはシュリンクラップソフトにあるような「免責事項」が張ってあります。 問題の文言は「データならびにハードウェアへの損害が生じたとしても、 弊社では一切保証しません」とのこと。 ひー、たかが音楽 CD をかけるだけでそこまで言うのか…。
どうも、Macintosh では差し込んだだけでハングする、 という情報もあり、確かにそれだと重要なデータが死ぬ可能性もあるよなぁ、 とも思います。ハードウェアの損害というのはよく分からないけど、 少なくともシステムをハングさせれば、 少なからずハードウェア障害が起こる可能性があるのは確かですね。
ちなみに、箱にも CD のレーベル面にも、「Compact Disc」のロゴはありません。 ソニーが認めなかったとか。正しい判断でしょう。 その割には、 いろんな場所に「この CD を〜」みたいな表現が印刷されているのですが、 CD じゃないやん (^^;。 ちなみに某所での、 「Compatibility Destroyer の略じゃないの?」っていうのには笑った。
記録面には、4 トラックの音声トラックが確認できるすぐ外に、 巨大なギャップのような謎の円が見えます。 これがミソなのかな? Windows 用の再生ソフトとエンコードしたデータも入っているらしいので、 このギャップみたいなゾーンの外にそのデータが入っているのでしょうか?
ということで、本当に Macintosh では再生すらもできないのか、 また、実際のところ何をやらかしてくれるのかを試すため、 まずは本当に Macintosh に突っ込んでやろうじゃありませんか。 PowerBook G4 の DVD-ROM モデルで、OS は MacOS X 10.1.3。 (DVD-ROM ではこのプロテクト、うまく動かないという噂もあったしね)
突っ込んでみると、2 つ CD のアイコンが出ます。 Windows 用のデータトラックと音声トラック、どちらもきちんと認識している模様。 ハングもしない。 しかも、検出したオーディオトラックのために、 普通に iTunes が起動してきました。ぬぬ?
なんか、著作権法をよく見ると、 以下に書いた部分は著作権法に違反するらしいので、 とりあえず削除します。 なぜなら著作権法では、 コピーガード機構を回避して私的コピーを取るのも違法だ、 ということらしいからです。 しかし、これもおかしな話です。 コピーガード機構を回避といいますが、 ではコピーガード機構とはどのようなものでしょうか? コピーを取ること禁ずる意思を何らかの機構で実現したものでしょうか? 私的にもコピーしちゃいけないよ、 とどこかに印刷してあったら、それはコピーガードでしょうか?
実は著作権法には違反しないとの見解があるようです。 要するに、従来の CD と同じやり方で普通にコピーできたら、 特に法律に反するものではないとのこと。 要するに、なにも特別なことをしなくても、 PowerBook G4 の DVD-ROM ドライブでは、 この CD をリッピング出来るのです。 (2002/08/12 追記)
また、今回の avex の CD は、 MD にならコピーが取れるということを認めています。 つまり、今回の機構が働かない環境でのコピーを事実上認めているということです。 そのような場合でも私的複製はあくまで違法なのでしょうか?
そもそも、著作権法は、 著作者の独占的な利益を確保するためのものではなく、 文化の流通と発展を促進するために、 ルールの元に著作物の扱いを定めたもののはずです。 その意味で、私的複製などの例外事項が加えられているはずであり、 最近の著作権の一方的な主張は、 愚かしいものであると思います。
やはり、 音楽にも Open Source で起こったような著作権パラダイムのオルターナティブが必要なのではないかと思います。 Open な音楽、作曲者が 100 人以上 CVS ログにいるようなオープン音楽、 自由な改変、流通、演奏などの行えるシステム、 XML などを利用した新しい音楽表現の標準化などが、 音楽そのものの概念を変えていき、 従来の音楽業界の出してくる作品がどうでもよい陳腐なものなるような環境が必要なんじゃないかな?
いずれにせよ、このような CD モドキを出すのは、さっさとやめて欲しいものです。 あるいは前にも書いたように、 納得のできるデジタルデータとしての流通法を開発してから、 こういう CD を出すようにして欲しい。順番が逆でしょう。 まあ、今回は私には特に害はないから別にいいけどね。
このあと同じ話題で書いた日 → 2002/08/07 (2002/08/11 追記)