2007 年 4 月 25 日 (水) 自宅

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関行宏, 嘉手川学『沖縄アーカイブス写真集―紡がれてきた美しき文化とやさしき人々の記録』

(大型本, 2006-09)


実は、明後日からまたしても沖縄に行くのです。 一応、一番大きな目的はライブなのですが、 それ以外の今回の自由研究のお題は「沖縄の神社」と決めました。

なぜこんなお題に決めたかというと、それにはいろいろな事情がありまして…。

沖縄の御嶽には、鳥居を持ったものがたくさんあります。 しかし、御嶽の信仰と、神道に由来を持つ鳥居とは本来イコールではありません。 私はこの習慣は戦前の皇民化政策によって導入されたものだと思っていましたし、 それは大筋で間違っていないと思っています。

しかし、以前興味を持っていろいろ調べた葛飾北斎の「琉球八景」ですが、 この中で波上宮(そういえばこれは神社だ)を描いた、「筍崖夕照」を見ていて、ふと面白いことに気がついたのです。 そう、江戸時代に描かれたこの絵には、鳥居が描かれているのです。

葛飾北斎 琉球八景 「筍崖夕照」

調べていくと、少し状況が分かってきました。 琉球王国には、本来の琉球の信仰(ニライカナイ信仰など)以外にも、 かなり古くから仏教と神道が流入しており、 神道に関しては、薩摩の侵攻以前に、 既に王国から特別な地位を与えられた八社が存在していました。 これを「琉球八社」と呼びます。

このうち、安里八幡宮のみが八幡神を、その他七社は熊野神(熊野権現)を祀っています。 沖縄と神道、なぜか不思議さを刺激される組み合わせです。 ではせっかくなので現場を見たいなぁ、と。

ちょっと基礎知識を付けておきたいので、図書館で本を借りてきました。「中山傳信録」「琉球國志略」「沖縄の祭祀と信仰」。

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「中山傳信録」は、琉球王国時代の中国からの冊封使節の報告書。何気ない日常の事実というものは、そこに住んでいる者よりも旅人の方が的確に記録してくれるというよい例。一日くらいで一気に読んでしまった(勿論、あまり興味を引かれない部分は流し読み)。ムチャクチャ面白い。

「沖縄の祭祀と信仰」は、「外来宗教の受容と変容」という章だけ読みました。とても複雑です。「ビジュル信仰」という聖石信仰については初めて知った。面白い切り口だと思います。

「琉球國志略」は、北斎が「琉球八景」の構図をパクったネタ本。まだしっかり読んでいないけれども、少なくとも「鳥居」がネタ本にも含まれることは確認しました。

こちらは趣味的な感じだけれども、Amazonのマーケットプレイスで購入した「沖縄アーカイブス写真集」。 なんか昨年の本の割には絶版しているのか、新刊は手に入りません。 この表紙、右側通行時代の糸満ロータリーだそうです。 既に持っている写真も多いけれど、なかなか面白い。

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