2003 年 5 月 23 日 (金) 自宅

今年の 1 月と 4 月に八重山に行ったとき、 ハンディ GPS レシーバeTrex Vista 日本版を持っていったのですが、 そのときに実に不思議に思っていたことがありました。 持ち帰った軌跡データを MapFan V の上にプロットすると、 石垣島と竹富島に限って、 地図でのプロットが大きく現実の軌跡とずれるのです。 同じ八重山諸島でも、 まさに目と鼻の先の小浜島や西表島ではほとんどずれることがなく、 GPS 測地系の問題とは考えづらい状況でした。

西表島(ずれていない)石垣島(ずれている)竹富島(ずれている)
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と、思っていたところに、驚くべき情報がメールで! (教えてくださった方、情報ありがとうございました)

島の位置、最大8百メートルずれ 国土地理院が精密測定

なんと、国土地理院が日本各地の島の位置を再度測定したところ、 最大 800 メートルものずれが見つかったのだそうです。 注目すべき点は次の点!

その結果、現行地図とのずれの最大は硫黄島の793メートルで、 2万5000分の1の地図で約3センチに相当する。 北大東島・南大東島の642メートル、 多良間島・水納島の560メートル、 石垣島・竹富島の251メートルなどを含め、 7地域の島で50メートル以上ずれていた。

なーんだ。 国土地理院の地図の方が間違っていたんじゃないか〜。 それも 251 メートルも。 しかし、驚いたのはこのような個人で持っているような単純な GPS でも簡単に測定できる誤差が、 今までずっと地図に残っていたと言う点。 従来の測定は三角測量が使えなかったために、 北極星の高さなどから測定した緯度経度を使っていたとのこと。 (ここで本当か? と疑問が生じたのだが、下の追記を参照)

うーむ。 硫黄島のような特殊目的でしか入れないところだけならともかく、 石垣のようなメジャーどころでも、これだけ豪快にずれていたというところが、 何かびっくり。 しかもカーナビで海の中を走っていることになるなど、 苦情がすでに寄せられていたという。 うむ〜。意外なところに残っているローテクだな…。

追記: と、書いてみたら早速次の情報が、 どうもありがとうございます。

ちょっとこの問題は根深いらしい。 GSI Tec News No.104によると、 2001 年の法改正で測地系を日本測地系から世界測地系に変換する際の記事なのですが、 要するに目と鼻の先であるにも関わらず、 石垣島と西表島で基準点の測定方法が異なっていて、 西表島では NNSS っていう GPS の前身のようなもので測定したそうです。 石垣島は…ここには方法について記述がありません。

で、この報告の中央の図-2に注目しましょう。 西表島と石垣島とでは大きくベクトルが異なるのですが、 ベクトルの向きを引き算してみると、 だいたい 5 秒ほど石垣島側に北東方向へのずれがありそうです。 石垣島と竹富島では、西表から見ると確かに北東方向にずれている!

あと、数値地図のフォーマット解説のこの辺りにも、 石垣と西表の基準点問題が触れられています (「注5」の部分)。 要するに、石垣と西表はかなり日本の地図の中でも特別扱いされている部分らしい…。

そうか、問題が見えてきたかも。 要するに犯人は数値地図から地図を起こすに当たって、 この「世界測地系経緯度記述数」のフィールドを「すべて 1」であると扱い、 石垣島の例外を処理しなかった MapFan の責任か? という気が沸々としてきた。 何しろ、ニッポンのお役所がそんないい加減な仕事をするはずがない、 と、なんか直感に反するからなー。

数値地図から地図を起こす際のプログラムの些細なミスか、 些細な手抜きである、という方が絶対にありうる。 そうでないと、 Garmin の画面上では全くずれが生じていなかったことの説明が困難だ。 ううむ、深い。さらに検証が必要だ。(2003/05/24 追記)

P.S.: Garmin の GPS といえば、 先日カシミール 3D の解説本パート 2 の、 山と風景を楽しむ地図ナビゲータ カシミール3D GPS応用編を買いました。 なかなか Garmin とカシミール周りの情報がコンパクトにまとまっていて、 また、面白い活用例なども紹介されていて参考になりました。


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