2000 年 5 月 4 日 (木・国民の休日) 京都

さて、実は京都の映画館の方から、 5 月の 1 日ごろに、 京都で『[S]幻の湖』の上映をやるらしい! との情報を頂いたので、 先日の自由が丘武蔵野館での上映を見逃して悔しさ絶頂状態になっていた私は、 突然京都に行くことにしたのでありました。 なんか最近遠出が多いぞ > をれ。 しかし、5 月になってから、 GW 中の新幹線のチケットなんて手に入らない手に入らない。 キーッ。

てなわけで、 若干高くなるけど、 飛行機で[S]羽田から[S]伊丹空港、 そして伊丹空港からバスで京都に向かうのであれば、 なんとか調達できることが判明。 と、いうわけで、 伊丹空港に到着しました。 羽田から 12,000 円。 国内線も結構安くなったもんだね。

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まあそれ以前に、 そうまでして観に行く『幻の湖』とはどのような映画かということなのですが、 まさに「幻の映画」であり、 日本映画史上に名を残す「珠玉の駄作」であるといえる映画と言えるでしょう。 私はすべてこの映画をネタバレしてから観に行ったのですが、 映画そのものがネタバレの記述をはるかに上回る壮絶さだったため、 本当に物凄い作品はネタバレなど恐くはないのだ、 と悟ったのでありました。

しかもあの東宝の 50 周年記念作品として、 膨大な製作期間と予算と一流キャストを投じて、 2 週間で打ち切り (香港じゃないんだから…) の憂き目を見たという、 曰く付きの作品。 関係者にとっても触れられたくない過去かも知れないが、 果たして 18 年前の日本映画のどれだけの作品が、 観るためだけに未だに全国から客を集めるパワーを持っているというのだろうか? そういう意味で、 やはりこの作品は素晴らしい作品であると断言したい。 映画を超えた超芸術、『幻の湖』と言っておこう。

というわけで、容赦なくネタバレするけど、 ストーリーはこんな感じ。

雄琴のソープ嬢、お市の方は、マラソンが趣味である。 いつも白い犬、シロを連れて琵琶湖西岸を走っている。 ふと走っている途中に耳にした笛の音、 それを湖畔で吹いていた男に彼女は惹かれる。 しかし一方で、 信用金庫の行員にも、 好意を持つ彼女であった。
ある日、シロが湖畔で殺されているのが発見され、 犯人が地方興業にやってきた音楽グループの一員であるということが判明する。 だが、殺されたのが犬であるということで、 なんとしても犯人を逮捕して懲役刑にしたいお市の方は、 警察と世間の厚い壁に突き当たる (あたりまえや)。
復讐心とシロを殺した凶器の出刃包丁を胸に上京した彼女は、 音楽家の居所を突き止めようとするが、 ここでも事務所などに阻まれ、 挫折を味わう。 そこに突然あらわれた、 かつて同じソープランドに勤めていたアメリカ人の CIA 女スパイ (と、制作者側は思わせたいのだと多分思う) の助力を得て、 その音楽家の住所を突き止める。
その音楽家の家に行った彼女は、 その音楽家もジョギングを趣味としているということを悟り、 彼の後を追う。 ただしペース配分も考えながら延々と追う (なぜ?)。 しかし、 琵琶湖の清浄な空気で育った彼女には、 東京のよどんだ空気は辛かった。 (ゴールの?) 駒沢オリンピック公園で、 いざ追い付こうとした彼女は、 急にスパートをした音楽家に遠く離されてしまう。
ゴールって何だ? ペースって何だ? 観客は自分が走る異世界に入ってしまったことを、 このあたりで完全に気付くのである。
挫折の結果、 雄琴に戻ってきた彼女は、 銀行員の求愛を受け入れる。 しかし、そこで再び笛の音の彼と出会い、 心揺れるお市の方。 笛の音の彼は、 戦国時代に始まるその笛と琵琶湖にまつわる戦国絵巻を語るのでありました (上映開始からなんと 2 時間もたって、いきなり時代劇編に突入)。
延々と戦国絵巻が続いたあと、 「湖に沈んだ女」でその話は完結する。 笛の音の彼は、自分が NASA の宇宙研究員であり、 もうすぐ宇宙に旅立つのだと語る。
一方、銀行員との結婚を決意したお市の方は、 最後の仕事の客を取るのだが、 そこに現れたのがなんと件の音楽家。 自慢げに「湖に沈んだ女の恨み節」などと語りはじめて、 さらにお市の方の逆鱗ターッチ! ついに切れたお市の方、 いきなり (なぜか仕事場の部屋の片隅にある) シロの墓前から、 出刃包丁を取りだし、音楽家に振りかざす。
逃げる音楽家、追う女。 音楽家は気がつく。 「この走り、見たことがある。 そうか、あのときの駒沢での女だ。 あの女ならなかなか持久力がある」 だの、わけのわからんくくりごとを垂れ流しながら走る走る。 またしてもペース配分を考えながら走る。 とにかく走り続けてどちらもヘトヘト。 ついに琵琶湖大橋の上で追い付くお市の方、 「やったわ、シロ、ついに勝ったのよ」 (何に勝ったんだ?) と満足感に浸った後、 やおら出刃包丁を手に向き直り、 ブスリ。 「お前なんかに、 湖に沈んだ女の恨み節などがわかってたまるものか!」 (わかるのは、あなただけです)。
そこに間髪を入れず、 轟音とともに打ち上がるスペースシャトル。 宇宙空間で勝手な思いに耽けり、 笛を琵琶湖の上に置いていく笛の音の彼でありました。
めくるめく 3 時間の異世界。おわり。

というわけで、 こういう素晴らしいストーリーなわけです。 あまりに感動して、 私なんぞ、以前、 琵琶湖でロケ地巡りをやってしまったくらいです。 でも、 やっぱりこれではとてもこの映画の素晴らしさは伝わらないと思うので、 何かの機会に是非観てください。 まさにマスターピース (^^;。 ちなみに、ビデオは出ていませんし、 上映される機会もほとんどありません。

伊丹から京都のバスは、事故渋滞にはまり 55 分の予定が 1 時間 30 分かかった。 まあ、GW 中だからかなぁ。

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と、いうわけで久しぶりに京都に着きました。

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とりあえず、以前からなぜか京都に来たときの習慣になっている、 加茂川のほとりを歩くために加茂川の方に向かいましょう。

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うーん、いい天気。

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今日はそれほどのんびりしているわけでもないので、 何となく五条あたりから京阪に乗って、 三条まで行くことにしました。

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久しぶりにやってきました三条大橋。

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近所でごはんを食べようということで、 とりあえず河原三条近辺をうろついて、 田毎本店という蕎麦屋さんに入りました。 やっぱり雰囲気的ににしんそばが食べたい気分だったので、 にしん定食を選択しました。 ああ、やっぱりにしんそばは好きです。

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三条大橋のところには、 突然[S]スターバックスコーヒーが出来ています。 ここでアイスカフェモカをいただきました。

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ちなみにこれがスターバックスの外観。 もともと何があった場所でしたっけ? ここ。

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相変わらず、カップル一定間隔配置の法則は、 ここでも生きていますねぇ。

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さて、 市営地下鉄で京都駅に戻り、 そこで阪急に乗り換え、 東寺駅に向かいます。 ちなみに、目的の映画館があるのは九条大宮とのこと。

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わずか一駅で東寺駅についてしまいました。

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駅前の地図ですぐに「みなみ会館」を発見。 九条の通りを西に向かいます。

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おお、あった。ここだここだ。 パチンコ屋の 2F っていうのがいいですね。

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会場が確認できたので、 せっかくだから観光でもしていくかなぁ、 ということで、東寺へ行ってみましょう。

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ああ、こんなところによりにもよって『幻の湖』を観に行くついでに寄ってしまう、 不信心な我々。

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入り口の甘味処で、 「五月セット」というものをいただく我々。 風流ですねぇ。

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というわけで、 一通りなかを観光して、 丁度良い時刻になったので、 みなみ会館へ戻ります。

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じゃーん、再び入り口。 いい雰囲気です。

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……… (3 時間経過)。

やっぱり、何度観てもすごいぜ、『幻の湖』! (ちなみに私はこれで 3 度目) ちなみに、初見の連れも「とても 3 時間の映画に思えない」と、 大絶賛していました。 本当に、どうしたらあんな物凄い映画が撮れるのでしょう?

橋本プロ初の、橋本監督、脚本、原作作品ということで、 あらゆるチェック機構が全く働かなかったためなのか? しかし、それにしては、 凡庸な映画につながりかねないありとあらゆるトラップを、 見事にすり抜けています。 まさに「奇跡の映画」と言えるでしょう。

しかし、あの満腹丸の最期の姿、 誰もおかしい、いや、 可笑しいと思わなかったのだろうか? (いや、この手の疑問をこの映画に持つときりがない…)

と、いうわけで、京都駅まで戻ってきました。

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観光客と化してみるも、 逆光で失敗 (^^;。

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駅ビルから東寺を望むの図。

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夕暮れ刻の京都駅もきれいですね。

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さて、帰路は特急はるかで関西空港に向かいます。

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私は柿の葉寿司弁当を get しました。 結局駅弁だぁ。

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関空って、新しいだけあってきれいですねぇ。

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上を通っているのは高速道路?

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エレベータもおしゃれ。

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出発ロビーも広くて気持がいいです。 ところで地盤沈下か何かの問題って解決がついたんだっけ? この空港?

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誘導灯の向うに、大阪の夜景が見えてきれいです。 ちなみに、羽田までの帰りのチケットは 10,000 円でした。 安くなったもんだねぇ。

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