矢野絢子『素の音の様(そのおとのさま)〜マイクなしの祝杯ライヴ〜』@ 代官山・晴れたら空に豆まいて
はてさて、実は昨日はちょっと風邪気味だったものの、たくさん寝てそれなりに復活。代官山の「晴れたら空に豆まいて」にやってきました。今日は矢野絢子東京2daysの初日、マイクなし生声ライブの日です。
そういえば晴れ豆の入口には矢野さんのポスターとこれまたわたくしお気に入りの宝美さんのポスターがでーん、と並んで張られていて私としてはかなり嬉しい限り(笑)。
会場に入ると、いつもはステージにあるグランドピアノが客席中央におろされ、代わりにステージ上にも椅子が備え付けられて、円陣形式のレイアウトになっていました。おお、マイクなしライブに対応するためとはいえ、すごい準備だなぁ…。
ジャストオンタイムで矢野さん登場。史香さんがその後に続きますが、なんか既に空いたグラスを何個か持ってきています。
最初の一曲は知らない曲。ピアノもなく、アカペラ、マイクなしの生声で歌います。実は矢野絢子生声ライブはこれで2度目。以前、沖縄のプチ☆カフェBar でピッピ隊長と対バンをした時も生声ライブでした(そもそもあそこは基本生声の箱だし)。生声だと本当に、口から言葉がまっすぐに飛んでいる、そういう感じが伝わるんだよね。
そしてピアノと史香さんのヴァイオリンが入って「処暑」、そして「青いブーメラン」。いやー、生声ライブ、やっぱりいいですねー。
「皆さん、ちゃんと聴こえてますか? 聴こえてなかったらこうやって…『えっ!?』って言ってくださいね」
今日はアルバム「サマーヴァケイション」発売を記念する祝杯ライブということで、カクテルを飲みながらライブしているそうです。既に2杯空いているのはそれぞれ「初恋」、そして「失恋」。バーカウンターに向かって、
「すいませーん、『怠惰』をお願いします(笑)」
そして「怠惰」を味わいながら、「これが『怠惰』というものですか…」。
さて、ここからギターコーナー。ピアノからギターが置いてある場所に移動して、ギターを抱えます。可愛いギターですね。このあたりの史香さんとの絡みがとても面白い。「手紙」。向きが変わって、今度はまっすぐこちらに声が向かってくる。変化球のない、直球勝負の声。やっぱりここがいいんだよね。
次の曲に移ろうとするのだけれども、次の曲は史香さんと合わせる関係もあってかチューニングが必要。でもチューニングがうまくいかない(笑)。史香さんが最初ヴァイオリンの弦をはじいて、「この音に合わせて」みたいな感じで手伝っていたのだけれども、最後には結局全部史香さんがチューニングをやってくれた。みんな史香さんに拍手(笑)。
「今回、初めてSuicaって使ったんですよ。なんか、宇宙かと思いましたよ。コインロッカーも使えたり…地下鉄も乗って。そんな地下鉄の歌です」
ということで、次の曲は「地下鉄の行く先」。私の大好きな曲だ。史香さんのヴァイオリンも素敵。そして「夕焼け」。やっぱり「真っ赤だぜ!」のフレーズがいいよね、この曲。
「ギターコーナーはこれで終わりです。見ての通りの腕前なのですが、せっかく大きなものを高知から持ってきたので、明日もやろうと思います。もうやめろと言われたらやりませんが(笑)」
ピアノに戻って…。
「カバーをやりたいと思います。おそらくここにいる誰も知らない人だと思う、中川千夏さんの曲をやります」
中川千夏さん…高知出身の人みたいですね。東京でも活動しているみたい。そして「黒アゲハ」「バニラ」と続けます。かなりこのあたりでエンジンが本格的にかかってきた感じ。晴れ豆、結構広いけどマイクなしなのにこれだけ響くのね。
「『最後の恋』を下さい。」
ここで史香さんのヴァイオリンとの息のあった「闇の現」。いやー、カッコよ過ぎ。以前沖縄のマイクなしライブでは「ゼンマイ仕掛け」を聴いたけれども、やっぱりこの2曲は史香さんとの掛け合いが最高ですね。
「(ごくり)んー、これが『最後の恋』の味かー!」
史香さんも味見してました(笑)。
「今年は12曲は作りたいという予定だったのですが、5月の時点で0曲。前回東京に来た時に、新しい曲が出来ん、と言っていたのですが、6月に2曲、7月に2曲出来ました。この調子でひと月2曲作っていけば何とか年末までに12曲できるかなぁ」
今日の最初にやった曲も新曲で「微笑みの中」という曲だそうです。
「次にやる『夏の横顔』という曲は、なんか『中島みゆきさんの曲ですか?』と言われてしまいました」
ということでその「夏の横顔」。なるほど(笑)。そう言われてみればそういう雰囲気も。
「著作権的には大丈夫でしょうか?(笑)」
そして「シズク」から「小屋歌」へ。歌小屋にまた行きたいなぁ。ここ1年以上行っていないし。やっぱり紅葉と戻り鰹のシーズン?
「この世で一番美しいものは、一番汚いものをかき分けた、その先にある、のだそうです…池マサトの『きれい』」
本編ラストは、生音のブルースハープとピアノとヴァイオリンが叙情的に響き合うイントロがまず圧倒的だった、「ひかり」。感動。
止まらない時の中で
風のようにはうまく泳げない
それでもそう少しずつでも
ひかりの中を泳ぎたい
口からまっすぐと出てくる言葉が、狭い箱に集まった人々に直接届く。やっぱり生歌はいいね。この企画に乗ってくれた晴れ豆の皆様、ピアノの移動など大変だったと思いますが、どうもありがとうです。
アンコールの拍手の中、タンバリンの音色であのリズムがする。と思ったら、矢野さんに続いて史香さんがタンバリンを持って再登場。そして「夏姫」!
「こんな夏の日の夕方を歌った曲をやります」
ということで「夕闇」 。またしても史香さんのヴァイオリンが泣かせる。
「生声ライブどうだったでしょうか? みなさんの心のひだに届きましたか?またやろうか。ところで、タイトルの『素の音の様(そのおとのさま)』って三日間考えて付けたのに、誰も何も言ってくれん(笑)」
アンコールのラストは「青い鳥」でした。またこういう円陣生声ライブはぜひ聴きたいね。いろんなポジションから聴いてみたい。終わった後ピアノの上を見に行ってみましたが、いろんなものが置いてあって、見て回って楽しかったなぁ。
本日のセットリスト (ピアノ+ボーカル:矢野絢子、ヴァイオリン:嶋﨑史香)。
- 微笑みの中(新曲)
- 処暑
- 青いブーメラン
- 手紙
- 地下鉄の行く先
- 夕焼け
- カバー・曲名不明(中川千夏)
- 黒アゲハ
- バニラ
- 闇の現
- 夏の横顔(新曲)
- シズク
- 小屋歌
- きれい(池マサト)
- ひかり
- [En.] 夏姫
- [En.] 夕闇
- [En.] 青い鳥
P.S.: 帰りに登戸の「麺の心」でラーメンを食べました。 しばらく行っていないうちにだいぶメニューが変わっていましたが、 開店したばかりの頃より美味しくなったかな?