篠原美也子『POINT and LINE』@ O-East

そう、15年も経ったのだ。

あれはもう15年前か。まだルミネの中にあった新宿タワレコの試聴コーナーでふと聴いたデビューアルバム「海になりたい青」。まさかあのあと15年もライブに通い続けるとは思わなかった。

まあその間にご存知の方はご存知の通り事務所を移籍してレコード会社もテイチクから東芝EMIへ、しかしその後いろいろとありつつも煮詰まって路線変更したりしつつもついに1999年にメジャー引退。1年ほどの空白期間を経て渋谷NESTで始まった「東京百歌」というイベントで復活。2000年暮れにNESTで2年ぶりのワンマン。その後はずっとインディーズで活動。結婚したり出産したりいろいをありつつも、現在でも細く長く活躍中(笑)。

という篠原美也子さんのデビュー15周年ライブが昨日渋谷O-Eastであった。

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15周年記念のベストアルバム2枚組(バンド1枚、ピアノ弾き語り1枚)「your song」も発売になっていたので購入。正面少し右、前から4番目の席に座る。O-Eastはさすがに広い。物販などをうろうろしつつ開演を待つ。毎度の長丁場に備えて、開演は17:30だ。

ステージには電子ピアノ一本だけ。一曲目は「秒針のビート」。今日はかなり乗っている感じが声からも伝わる。この曲が一曲目というのは、NESTで行われたインディーズ初のワンマンライブを思い出す。

選ぼうとしなければもっとずっと人生はたやすい
望んだりしなければきっとずっと人生はやさしい
思っているよりもずっと人生は短い

誇り高くありたいと願えば日々はあまりに切ない
勝ち負けで決まるならきっとずっと人生はたやすい
動機を見失ったまま過ごす日々はなんてはかない

私はあの時、2年ぶりに篠原美也子のライブを聴いた。活動休止前の煮詰まり加減が記憶にあった中、復活ワンマンで一曲目にこの曲を力強く歌う姿を見た時の驚きが忘れられない。私にとって、篠原美也子のインディーズ版デビュー曲と思っている一曲だ。

そして本当の15年前のデビュー曲「ひとり」iTunes Store 。時を越えても色あせない曲がある。さらに「place」iTunes Store と「青」iTunes Store 。すごい、惜しみのない選曲。こんな最初から飛ばしているライブはもしかしたら初めてかも知れない。ちなみに「青」は私が初めて聴いた篠原美也子の曲。

MCで、15年前からいる人、というので手を上げさせていた。前の方だったからどのくらいいたか分からないけど、それなりにいたのかな? まあ、この人はいいファンをたくさん抱えているよね。それだけ「替えの効かない」音楽をやっているという事なのだろうけど。

しかし、「HERO」「flower」「Journey」という流れも凄かった。そして、春にデビューして、春に契約解除になって、春に東京百歌で復活して、春に結婚して…と、春にさまざまな出来事が起こっているということから出てきたらしい新曲「桜駅」。

終盤の流れは本当に凄かった。こんな贅沢なセットリストいいの? という感じ。「永遠を見ていた」「夜間飛行」「逆光」「Stand and Fight」、そして「流星の日」と、各アルバムのタイトルチューン的曲が目白押しだった。インディーズ時代の集大成と言ってもいいだろう。そういえばなんやかんやでもう17枚もアルバムを出しているのか。

本編ラストは新曲「空に散る」。空に散った星々をつないで星座が出来る。いろいろな人々が人生で作る星々がつながって、いろいろな人と共有しながら自分自身の星座を作っていく。15年、いろんなところでこれらの音楽と星を共有してきた。これからもこの人の音楽とはつきあい続けていくだろう。本当に凄いライブだった。ついにこの辺りで涙もろくなってきてしまう。

アンコール。散ってしまった桜が、緑の葉で力を蓄え、また春に花を咲かせる。「葉桜」。そして時が教えてくれる、「Time will tell」。

今どこにいるのか 時々分からなくなる だけど振り向けばひとすじの道なんだ

ラストは新曲の「my old lover」。

もう前みたいにいつもいつも 好きって言えるわけじゃない
投げやりになって黙り込む夜もあるけれど
傷つけた事もあるこの声で
今でも変わることのない愛を告げてみせるよ

ありがとう、篠原美也子の音楽はまさに私にとってそういう存在だよ。歌い終わった彼女は下を向いたままだった。しばらく経って立ち上がった顔には涙があふれていた。

アンコールが終わっても、本人よりあきらめの悪いことで定評のあるファンはひたすら拍手を続ける。缶ビールを片手に持ってきてぐっと飲んだ彼女は…

「悔し涙だからねっ!」

いきなりツンデレ属性ですか?(笑) もう歌い切ったので歌う曲ないし…うーん、とか言っていたら客席から「願わくば!」という声があり。アカペラと会場のみんなで「願わくば」。

願わくば 願わくば いつの日か届くように
願わくば 願わくば その思いが叶うように
その思いが消えぬように

終わったらなんと21時。あっという間の3時間半だった。本日のセットリスト。これほど豪華なライブは、本当に初めてだと思う。

  1. 秒針のビート
  2. ひとり iTunes Store
  3. place iTunes Store
  4. iTunes Store
  5. only you
  6. 前髪 iTunes Store
  7. Passing
  8. HERO
  9. flower
  10. Journey
  11. 桜駅
  12. S
  13. 永遠を見ていた
  14. 夜間飛行
  15. 逆光
  16. Stand and Fight
  17. 流星の日
  18. 空に散る
  19. [En1] 葉桜
  20. [En1] Time will tell
  21. [En1] my old lover
  22. [En2] 願わくば

追伸:ところで、先日iTunes Storeに「SPIRAL 15th anniversary edition (Disk 1)」iTunes Store と「Love Ballade Album Self Cover, Vol. 3 - Half Moon」iTunes Store が入ったことで、 メジャー時代初期、テイチク時代の名曲が(再録盤ながら)非常に手に入りやすくなったことは喜ばしい。インディーズ時代の初期のアルバムとかもiTunes Storeに入らないかな…。