Cocco『きらきら Live Tour 2007/2008』@日本武道館 (2nd day of 2 days)
いよいよツアーファイナル。武道館二日目は「アコースティックスペシャルナイト」。席は2階席だったけれども、その代わりステージ真っ正面でした。これで私のCoccoライブは7回目、うち武道館は4回目ですか…。
昨日とは全く異なり、ステージ上には雑然と足の踏み場もないようにたくさんのアコースティック楽器やら家具やらが並び、たくさんの椅子(ソファーみたいなくつろぎスペースもあり)と、たくさんの電気スタンドが並んでいます。客席の照明が明るい状態だと、何となく舞台裏のような雑然さをたたえた不思議なステージでした。
さて、昨日と同じ、妙に脱力系のたどたどしいアナウンスが最後に「えんじょーい!」と言った10分後くらいに突然武道館が暗転し、ステージの電気スタンドの光が柔らかく点灯しました。
素敵!
明るいときにはあんなに雑然と見えていたステージが、一瞬で居心地の良さそうな「制作風景」に変わりました。そして一曲目は「燦」…。
今日の衣装は、1年がかりで色々な人の手を経て作られた琉球藍のドレスだそうです。赤い髪飾りもきれい。2階席からなので遠目にしか見えなかったので、その点はちょっと残念でしたが…。
セットリスト。
- 燦
- 強く儚い者たち
- 甘い香り
- Baby, after you
- 藍に深し
- あしたのこと
- 10years
- 雨水色
- In the Garden
- Tokyo Happy Girl
- タイムボッカーン!
- ハレヒレホ
- Raining
- Sweet Berry Kiss
- ちんぬくじゅーしー(okinawan traditional)
- お菓子と娘
- じんじん(okinawan traditional)
- 小さな町
- 野火
- 暗黙情事
- 月ぬ美しゃ(okinawan traditional)
- ジュゴンの見える丘
- バイバイパンプキンパイ
「『燦々スタジオ』へようこそ!」
「1年くらい前、知り合いの知り合いの知り合いの知り合いの、沖縄本島の北部にある倉庫と別荘を借りて『燦々スタジオ』として『きらきら』を作ってました。まさか1年後にこんなたくさんの人の前で同じことになるとは…」
ということで、やはり今日のセットのコンセプトは、「きらきら」の制作風景だったようです。
「強く儚い者たち」は昨日もやっていましたが、アコースティックで聴くとまた全然違った感覚ですね。「藍に深し」もよかったなぁ。気がつくと「タイムボッカーン!」と「ハレヒレホ」では、近くの入口のところでカチャーシーを踊っている人まで(笑)。
Coccoのアコースティックライブは『湧出!桃源郷音泉〜年末大阪編〜』でも聴いていたので、それ自体の驚きはあまりなかったのですが、これもなかなかいけるんですよねー。
出番のない楽器担当の人は、ステージ右のソファーでのんびりとくつろいでいたり…本当に制作風景みたいでとてもいい雰囲気でした。
ステージ真ん中、一番前の場所にCoccoさんが体育座りみたいに座って何を歌うのかと思ったら、なんと「Raining」でした。確か3rdシングルだったかな?この曲を初めて聴いたときはショックだったなぁ。
今のCoccoがこの曲を歌うときは何を考えるんだろう、と考えました。ある意味、最初期のCoccoを象徴するかのような曲だと思うのです。
そしてそのままもっとステージの前の方に進んで、ついにステージの端に腰掛けて「ここ気持ちいいよ!」と言って裸足の足をぶらぶらさせながら「Sweet Berry Kiss」。
なんかMCでは「きらきら」制作日記を出してきて、「コッキーVS長田バトル」の時の日記を朗読するコーナーなんかもあり…面白かった(笑)。Cocco、ケンカの仕方が小学生みたいでかわいい。「きらきらしたアルバムを作りたかった」のだそうです。
今回のライブでは沖縄民謡ベースの曲が3曲もありました。いやー、昔のCoccoでは考えられませんね。「あなた、ご飯よー」みたいな歌です、と言っていた「ちんぬくじゅーしー」は歌詞をよく知らなかったけど、食材の名前をとにかくたくさん並べているなぁという程度は聞き取れました。ほのぼの。
「沖縄の蛍の歌です」、と解説していた「じんじん」は沖縄などでもやっていた話を聞いていましたが、まさかあんな激しいアレンジだとは思いませんでした。そしてこの曲を境に、ラストに向けてスパートが始まりました。相変わらずきっちりアコースティックだけど。「小さな町」、「野火」、「暗黙情事」の流れ、よかったなぁ。
もう一曲、民謡から「月ぬ美しゃ」。この時、ヴァイオリンの方が歌ってましたが、あの歌詞は何だったのでしょう?素晴らしい声でした。そして「ジュゴンの見える丘」へ…。バンド紹介でみんな一言喋ってもらっていたけど、あのCoccoさんに「うちの人たちは口べたなんです」と言われてしまう慣れなさっぷりがまたよかった(笑)。「ジュゴンの見える丘」は完全アコースティックだとまた染みいります…。
そしてラストは「バイバイパンプキンパイ」…。
この曲、神戸で初演のうたですよね。この曲。私がたまたま参加できた大阪の梅田シャングリラでやった小さなライブでのアンコールでもやったのだが、この時のライブで、Coccoが号泣しながら震災のことを語っていたのが忘れられません。
そんな、Coccoが一人行ったところで出来ることはたかがしれているし、まだ高校生だったということだし、そんなに自分を責めることはないと思うんだけど、震災の慰霊碑のところで、いろいろなことを考えたんだろうな、と武道館のラストにこの曲を持ってきたことからあらためて思いました。
この歌をみんなの歌にしていってほしい、とCoccoは言っていました。
今回のライブツアーでは、この武道館という素晴らしいステージを見られたほかにも、この大阪での小さな箱ライブを体験できたことも、友人でもある HIRUGI.coさんがなんと沖縄での箱ライブでCoccoと対バンできたというすごい嬉しいサプライズもあり…。本当に思い出深いものでした。
最後に、Coccoが叫ぶように話していたMCがすごかった。
「答えは、生きていくこと! 続けていくこと! その先に答えはある。生きていこう、そしてまた会おう!」
まさに今日も歌っていた「Raining」のように、かつて生と愛を求めて死と破壊を歌っていた少女が、大人になって、その生と愛を他人に届けようと必死に歌う姿がそこにありました。
あっちゃん、素敵な大人になったね。
また会いましょう。