2006 年 5 月 7 日 (日) 沖縄本島某所

今日の矢野絢子沖縄シークレットライブは、ほとんど全面的に場所から何からシークレットが守られたライブ。しかも現地に行ってわかったけど、なんとマイク無し！のライブでした。うわ、そんなの東京でも高知でも聴いたことない！

場所も時間も公開されていませんが、なぜか一応知っていたので、 せっかくのゆいレール一日乗車券、もっとも会場方面に近い古島駅まで乗って、 その先はタクシーで行くことに。

さて、ここらでタクシーに乗り換えましょう。 ここはゆいレールの現状での最北端駅なので、 北方面に行くのにタクシーを乗り継ぐには結構いい場所です。

実は、是非一度私の愛するミュージシャン同士を引き合わせてみたい、ということで誘ってみた沖縄の HIRUGI.Co ことヒルギさん(大病からの復帰デビューCD発売直後で実は今メチャ多忙)。 この7日のシークレットライブなら行ける、ということで連絡があったのですが、さすがは現地ミュージシャン、非常に限られた範囲にしか広報されていない本日のライブ会場と時間を教えてくれたのです。本当にありがとう！

ということで、会場近くで待ち合わせ、 ややわかりにくい場所にある会場まで案内してもらいました(感謝！)。 実はこの会場…一度行ってみたかった場所なのですよ。この箱はエレピしかないのですが、いろいろな交渉の末決定したらしい、矢野絢子ライブです。

ということで、Opening Act はピッピ隊長！ 実は私が以前から一度ライブを聴いてみたいと思っていた人なのです。 以前から私が好きな「ピッピ隊音楽部」というなんとも個性溢れる素敵な沖縄のバンドがありまして、実はそのピッピ隊音楽部が只今活動休止中で、隊長がソロ活動中とのこと。

アコーディオン弾き語りなのですが、これがまたなんともよかった。いやほんと。なんか、しんみりする曲が多くて…。今度5月中に新宿と高円寺でライブがあるらしいんだけど、是非行きたいと思いました。

さて、客は全部で20人くらい。お店が歌小屋の２階と同じくらいの広さだというのもあってか、何ともいい感じ。そこで矢野絢子ライブスタートです。

エレピなので正面を向いて歌えるわけですが、しかもマイク無しということでなんともダイレクトに前方を向いて歌うわけで、これはまだどこでも体験したことがない衝撃！ もともと物凄い声量の人なのですが、完全な生声でのライブは本当に素晴らしいの一言です。

今回のセットリストはこんな感じ。

1. ぶらんこ乗り
2. 星空へ
   (史香さん in)
3. 迷子のワルツ
4. ゼンマイ仕掛け
5. ニーナ
   (史香さん out)
6. 約束
7. (アンコール)一人の歌

最初は『ぶらんこ乗り』。いきなり未発表曲。いしいしんじの「ぶらんこ乗り」にインスパイアされた曲らしい。おお、いいねぇ。正面を向いて歌う矢野さんと目が合いまくりのライブって初めて。

今回はシークレットライブということで、どうすればシークレットかな、と思っていて、お客さんにも場所は秘密、とかしたんだけど、さらに曲目も考えていないということ。

珍しくピアノの上に紙が置いてあるな、と思っていたんだけど、これが細かい字でみっしりと書かれた持ち歌全曲リストらしい。ここから歌いたい曲を選んで歌うのだとか。

で、昨日沖縄に到着したが、晴れていないのでまだ青空も星空も見られていないけど…ということで『星空へ』。これまた未発表曲。普段見ないスタイルだけあって、音はエレピなんだけど、声が本当にマイクなしに正面から響いてくるのってなんとも素敵。

ここで柱の陰から「じゃん！」と史香さん登場。っていうかすぐ横のバーカウンターから歩いてきただけだけど(笑)。あいかわらずその美貌に似合わずお茶目な人だ。しかし曲目一覧の紙から適当選曲でヴァイオリンを合わせるのか…。

まずは昨日もやっていた『迷子のワルツ』。森で迷子になった姉妹の歌、でしたっけ？ 「キルルクララキルルクララ…」なんとも凄いね。

さっきのピッピ隊長のライブを見て、実は矢野さんもアコーディオンを練習しているけどやっぱりちょっとサボってますとか、いろいろ楽器にかける哲学のようなものとか、なかなか味わい深い MC。

さて、やっぱり史香さんが出てきたらこの曲欲しいね、という『ゼンマイ仕掛け』 ！(MCでは『ゼンマイ仕掛けの金魚』と喋っていたけど、最近はそういうタイトルになったの？)

相変わらず息のあった二人、前奏からとにかくアドリブしまくりで、なぜ合わせられる？の演奏。矢野さん、せっかくエレピなんだからと逆手に取って音色を途中で変えまくったりして遊びまくり。終わったら「きょうだいじゃないです」と矢野 MC (笑)。

「とても長い曲ですが…」と前置きして『ニーナ』 。これは凄い。マイク無しで正面向いて12分間『ニーナ』だよ。ごめん、何度も何度も何度も聴いている曲なのに泣いた。しかも史香さんの伴奏付きでは初めて聴いたかも。

ここで史香さんがバーカウンターに戻りました。ありがとう。「いや、そこで弾いてもいいですよ」と矢野 MC (笑)。「最後の曲です。4月末にできたばかりの曲に挑戦しようとしているのですが…」ということで、「ピッピ隊長に捧げます」ということで、新曲『約束』。

「イチジクコバチ」という蜂の生態を特集したテレビの番組があって、その命の営みの凄さや、目的を果たせずに死んでいった蜂たちの姿に刺激されて作った曲だそうです。 『ニーナ』が静謐な空気の中をとても長い年月が流れるドラマの歌だとすれば、 この『約束』は、死を描きながらもダイナミックな躍動感に溢れる、生命のドラマの歌です。

これが…『ニーナ』からの流れもあるけどやっぱり涙腺を刺激される曲でした。っていうか泣いた。この素晴らしいライブ本編の最後を締めくくるにまさにふさわしい名曲でした。

終わった後で、微妙なアンコールの駆け引き(笑)がありつつ、やっぱり今日もさっさと再登場してくれる矢野さん。じゃあなんの曲にしようか…と尋ねると、最前列から小さな声で「一人の歌…」という声があり、『一人の歌』 に決定。うん、やはり最後の最後を飾るのはやはりこの曲ですね！

今回のこの特殊なライブの形式は、この会場やそこを根城とするミュージシャンたちへの、矢野さんなりのリスペクトなんじゃないかな、と思います。この会場の空気は、とても歌小屋に似ていました。

いやはや、本当に素晴らしいライブでした。曲数は少なかったけど、内容の濃さは本当に凄かった。まさかこんな物凄いライブが今回の沖縄で聴けるとは思わなかった。

初めて矢野絢子のライブを聴いたときや、初めて歌小屋の２階での矢野絢子のライブを聴いたときに匹敵する感動でした。矢野さん、史香さん、ピッピ隊長、そして今回は残念ながらあの歌声は聴けなかったけど、いろいろとお世話になったヒルギさん、どうもありがとうございました。

ライブ終わった後もまったりと飲みながら過ごしていました。しばらくすると隊長が第二ステージを開始。これがまたなかなかに良いのであります。「広い場所でやるのは苦手なんです」と語っていましたが、明日のモッズの Opening Act にも隊長入ってますので、楽しみです。

帰りは午前様で、全行程タクシーで那覇まで戻りました。おやすみなさい。

『今日こそ首里そばで昼食』に続く。

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ほそかわ たつみ <hosokawa@FromTo.Cc>
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