(CD, 2005-04-13)
矢野絢子、2005 年春のミニアルバム。 「ナイルの一滴」とは全然雰囲気の違うアルバムになっていて、 全体のコンセプトとしては和風、そして聴けば聴くほど味が出る、 という感じの作品です。『風の子』の祭り囃子、『ゾウリムシ』の不条理な歌詞、 『とうとやつめに』の三味線との競演もいいけれども、 何と言っても最後の曲の『燐光』、傑作です。圧巻。
(CD, 2005-10-12)
矢野絢子 2nd フルアルバム。インストゥルメンタル 3 曲を含む 14 曲。 「歌小屋の2階」でのピアノ・ボーカル・ヴァイオリンによる一発撮り(?)の多い、 まるでライブアルバムのようなアナログ感漂う 1 枚。 名曲「吉野桜」もいいけれども、 まるで自叙伝のような「二つのプレゼント」には、 なぜか同じ高知出身の西原理恵子「ぼくんち」を思い出して泣いた。
(CD, 2004-10-13)
地方で活発に活動していた天才ミュージシャンが、
多くの持ち歌から考え抜いて選曲して、
捨て曲ゼロの密度がみっしりと濃いファーストアルバムを作ったように見える、
という点では、
全然ジャンルは違うけれども椎名林檎の『無罪モラトリアム』の衝撃を思い出します。
力強いボーカルに、
華麗なピアノとヴァイオリンが奏でる傑作アルバム。
2004 年の「私の偏見で選ぶ CD」ベスト 1 に文句なしに決定。
(DVD, 2004-12-08)
2004年10月14日、キリスト品川教会グローリア・チャペルにおける、矢野絢子ライブ『ナイルの一滴』を収録したライブ DVD。素晴らしいライブでした。
で、今日は矢野絢子さんのライブですよ。 今回はちょっと、あまりに偶然なことがいろいろ重なりすぎて、 どう書いていいものやら分からないです。 っていうか、MC にあった「合縁奇縁」じゃないけど、 世の中いろんな偶然が重なることがあるのだなぁ、と思った一日でした。 …と書いただけではアレなので、順番に書いていきましょう。 結構すごい一日だったので、まあ最後まで読んでくれ (笑)。
本日は矢野絢子ツアー『浅き夢見し』の最終日、ツアーファイナルです。 場所は東京青山。箱は「月見ル君想フ」というライブハウス。 なんか、「和風」にこだわった今回のアルバムのタイトルを冠したツアーに、 まさにピッタリの名前の箱ですね。 中では沖縄料理も出される場所で、なんかとってもいい感じ。 なんと本日は 2 公演 (第一部 17:00〜、第二部 20:00〜) もあり、 私は両方チケットを取ってしまったので、両方見せていただきます。
このライブハウス入り口の月の看板がまたかわいいです。 で、このチケットがまた結構凄い番号で、 第一部が 12 番〜、第二部が 3 番〜…。 第一部はなぜか以前メールでだけ話をしたことのある人 & その友人という 2 人で、 第二部はうちの連れと二人の共通の友人という、 どちらも 3 人組で行くことになりました。
ということで第一部。 中に入ると結構小さいながらも和風テイスト溢れる素敵なライブハウスで、 ステージ正面には大きな丸い月をかたどった白い飾りが飾られていて、 そこにお習字で、「あさきゆめみし」のタイトルが書かれています。 ステージには小振りのグランドピアノ (前回の FAB 同様、 このライブのためにわざわざ搬入したらしく、 この後数日間ピアノ中心のライブが行われる)。
我々は前の方の席に陣取って、目の前でライブを見ることとしました。 ちなみにこのライブハウスはドリンクチケットで泡盛が飲めます。 私は残波の水割り。
ライブはほぼオンタイムで開始。 衣装は…真っ赤な振り袖に草履です。 ……その格好でピアノの弾き語りをするのですか貴方は。 演歌歌手はタイトな帯と戦いながら声を絞り出すようですが、 それにさらに草履でペダル踏めるのですか? いや、 まあ、とっても可愛らしいんだが(笑)。
と、思った私の不安は一瞬で消滅。一曲目はいきなり『燐光』。 ピアノも声も素晴らしい。 しかも、この物凄い声量でも割れない音響の調整もバッチリ。 これはとてもよいライブの予感。 さらに、今回のアルバムで一番評判のよかった曲をいきなり一曲目でやってしまうその潔さが、 相変わらずで素敵。
ということで、今回のセットリストはこんな感じでした (福岡のレポートなどを見て、 適宜修正したつもりだけれども『吉野桜』の位置が自信なし)。
『燐光』の後は、『めぐり』『坊さんや』と、未音源歌曲が続いたのですが、 その後の『いのち』、とても素晴らしかった…。 そして、横のテーブルの上の花瓶の 3 本のバラから一本をとって、 胸元の帯のところにに挟んで『バラ』。 「どうして私は美しいの、 どうして私は真っ直ぐ延びるの、それは生きるため」 という感じのとってもいい曲でした。 終わったらそのバラを抜いて、最前列真ん中辺りの女の子にあげていました。
で、鼻唄を unplugged でかすかに歌いながら、 別のテーブルの上にあるピアニカを箱から出しはじめ、 いつもブルースハープを取りつけている「あれ」にピアニカの口の部分を取りつけました。 で、なんと『ゾウリムシ』を、右手ピアニカ左手ピアノという形式で、 一人で演奏しつつ歌うという、もう曲芸の域に達するのではないかという演奏をしていました。 すげえ…。
その後、ギターの準備をして、ギターの体勢になって MC。 この MC がギターをポロンポロンと鳴らしつつとにかく長い。 …長いけど面白かった。「東京、大好きです」と言っていたのは、 ココログの矢野絢子 blog にも書いてあったこの辺が原因だろうか?(笑) 着付のために一緒にまわっていたご母堂が骨折をされてしまったお話でした。 お大事に…。 そういえばデビュー 1 周年を丁度過ぎたあたりのところでしたね。 MC では「一年持ちました」だそうです。ぱちぱち。
で、続いて現在の「歌小屋の二階」でのライブのスタイルの解説。 大体 200 曲ある持ち歌をテーマごとに 6 つにわけて、 2 ヶ月ごとに 1 年サイクルで回すことに挑戦しているとのこと。 面白いスタイルだなぁ。5, 6 月のテーマは「浅き夢見し」で、 それに合わせて今回はライブをしているとのこと。 「是非来てください」なんてお世辞で言ってると本当に高知まで行っちゃうよ。 と、高知県未体験の私は思うのでありました。
で、それに続いてギターで「ほたる」。 ギターでの演奏にはピアノほどの派手さはないけれども、 やっぱりなんか独特の味のある演奏なのです。 それにしてもそのギター、小さくてかわいい。
ピアノに戻って、『敗れし少年の唄へる』。 これは、宮沢賢二の詩に曲をつけたものとのこと。 でも残念ながらあまり歌詞が聞き取れなかった…ごめんなさい。
で『とうとやつめに』。……これ、凄いよ。 今までこの人はとてもピアノがうまいと思っていたけれども、 そんなものじゃなくて、この人はピアノが……超人的にうまい。 原曲では三味線などで表現されている音を全てピアノのトレモロで表現して、 それで弾き語りで歌ってしまうこれはもう何て言っていいものか…。 本当に、超絶技巧トレモロ攻撃にメロメロでした。 そして『水之月』。 ちょっと物悲しいメロディです…。
自信はないけれどもたぶんこの辺りでやったのが「吉野桜」という未音源化曲。 Blog の方にも書かれてある通り、 家に桜があるとのことだけれども、その桜を歌った曲。 ちょっと物語的な部分は「ニーナ」も思い出します。 これが今回の未発表曲の中で一番印象に残った素敵な曲でした。 いつか CD にもならないかなぁ…。
そして『かくれんぼ』で少し落ち着いた感じになって本編終了。 本当に本当に凄いライブをどうもありがとうございました。
アンコールでは、「歌小屋の二階」では定番らしい、 「合縁奇縁」的抽選会をやってました。 入場順に振られたアンケート用紙の番号と、 缶に入った大量の割りばしっぽい棒に書かれた番号が一致すると、 その場で正面の「あさきゆめみし」習字が当たるという企画 (笑)。 当選していたのが 100 番台の人だったので、 東京は人が多いなぁ〜、ということでした。
これはとても基本のデビュー曲『てろてろ』。 いい曲だねぇ。その後、『ソリダスター』を会場の人々で合唱で終了。 とても幸せな感じでよかったです。 いや〜、もう何と言ったらいいものやら…。凄いライブを見てしまった…、 としか言えない感じでしたね。
その後、後半戦をともにする二人と合流。第二部に向かいます。 というか、第二部開演までの時間が 1 時間しかない…。 あのパワーで第一部を約 2 時間もやっておいて、 さらにたった 1 時間の休憩で、 もう一幕やってしまう体力がどこから来るのですか…。 凄すぎ。
ネタばれしたい衝動をこらえるのが大変。 どの辺りに座ろうかという事を聞いたのですが、 やはり 3, 4, 5 番のチケットなら一番前に座るべし、 という意見が多数だったので、その方向にしました。 一番前は例の「バラ」がありそうなんだが…と心の中で思いつつ、 女性陣に当たりそうな方向にしようという事で、 ちょっと私はずれた感じで座りました。
ということで第二部スタート。 今度は青い振り袖。青い方もなかなかかわいらしい。 …という見掛けとは裏腹の、 気合いの入ったピアノパフォーマンスを、再度堪能させて頂きました。
で、肝心の「バラ」なのですが…ずらして座ったつもりが、なんと!私が頂いてしまいました。 えー、女性限定じゃなかったの? と一瞬思ったのですが、 ありがたく頂きます…。どうもありがとうございました。
その後も素晴らしいパフォーマンスを堪能させて頂きつつアンコール。 『ソリダスター』が終わったあと、なんか一本残ったバラが気になったのか、 それも客席に…って、受け取ったのは我々 3 人組の 1 人、 友人の某女史ではありませんか。 みなさんごめんなさい… (でもこの話にはまだあとがある…)。
で、終わった後もしつこく拍手をしていたらもう一度出てきてくれました。 まあ、本当のツアーファイナルの公演ですからね。 「いつもアンコールは一回までしか考えていないんだけれども…」と言ったら、 客席から『明るい方へ』という掛け声がかかったとたん数秒でいきなり開始 (この辺も凄いと思う)。ということで、未音源化曲の「明るい方へ」、 楽しませて頂きました。 本当に、とても素晴らしいライブだったなぁ。
というところで、連れが一言。「持ち帰り用の花瓶があるよ」(笑)。 って、何…? と聞くと、 第一部を私が見ている間に近所の美術館のミュージアムショップに二人は行っていて、 そこで旅先で花を買っても持ち帰れるように、 というコンセプトで作られた、「携帯用花瓶」というものを偶然買ってきていたということ。
アンケートを書きながら、 「これはさ、きっとバラもこういう水を持った人のところに行きたかったってことだよ」 「まあこれも不思議な縁というものかね…」という勝手な結論がついて、 バーカウンターで件の携帯用花瓶に水を最小限入れてもらい、 そこにバラを生けました。 それがこれ。
いや、いろんな意味で偶然って凄いなぁ、と思ったライブでした。
その後、近所のタイ料理屋『Siam Cafe』で 3 人で夕食。花瓶も一緒です。
シンハビールを飲みましょう。
こちらが、「バミー・ヘーン」と書いてあった、 タイ風の温拌麺という感じのもの。 センレックやセンヤーイなどではなく、小麦ベースの中華風に近い麺です。 ナンプラーの香りが強くついていて、美味しい。
それに、生春巻。
ややピンぼけだけれどもベトナム風フォー。美味しいね。
ということで、とても充実した一日でした。 いやはや、偶然って面白い。 矢野絢子さん、素晴らしいライブとバラの花、ありがとうございました。 午前様直前に帰宅しました。