(CD, 2004-10-13)
地方で活発に活動していた天才ミュージシャンが、
多くの持ち歌から考え抜いて選曲して、
捨て曲ゼロの密度がみっしりと濃いファーストアルバムを作ったように見える、
という点では、
全然ジャンルは違うけれども椎名林檎の『無罪モラトリアム』の衝撃を思い出します。
力強いボーカルに、
華麗なピアノとヴァイオリンが奏でる傑作アルバム。
2004 年の「私の偏見で選ぶ CD」ベスト 1 に文句なしに決定。
(DVD, 2004-12-08)
2004年10月14日、キリスト品川教会グローリア・チャペルにおける、矢野絢子ライブ『ナイルの一滴』を収録したライブ DVD。素晴らしいライブでした。
(CD, 2004-09-08)
(CD, 2004-05-26)
さて、本日はキリスト品川教会グローリア・チャペルで矢野絢子 (やの・じゅんこ) のライブ 『ナイルの一滴』があるということで、品川にやってきました (この写真は P900i の内蔵カメラ)。 グローリア・チャペルは今までも私がよく聴いているアーティスト達がライブ会場として使っていたのですが、 なかなか予定が合わなかったので、 私はここに来るのが今回が初めてです。 なるほど、いつも山手線から見えるあの十字架が品川教会だったのですね。
実は突然参加できそうな予定になったので、 数日前にチケットぴあで取ったチケットなのですが、 だいたい真ん中くらいに座れました。 当日券も出ていたみたい。後ろの方にはまだ少し空席がありましたね。 いろいろタイアップもついているようですが、 まだ地域限定のマイナーアーティスト、という感じなのかな。
で、今回のライブの感想をいきなり言ってしまいますが、 まさに『最高!』です。 ここ数年見た数限りないライブの中でも間違いなくトップ 3 本中には入るだろう、 という素晴らしいライブでした。
そもそも私が矢野絢子の曲を初めて聴いたのはデビューシングル『てろてろ』が発売されたちょっと後に、 スカパーの Space Shower か MOT の PV 紹介番組で『てろてろ』を見たのが最初だったと思います。 ピアノソロの美しい静かなメロディと独特の歌い方にはとても強い印象がありました。
ということで、早速『てろてろ』を買ったときは、タイトル曲よりもむしろ Track 3 に入っている『ニーナ』という 12 分以上の大作に圧倒されました。 目の前に光景が浮かぶような歌詞と美しいピアノの音は素晴らしく、 それ以来ずっと注目していました。 そして今回、 ファーストアルバムアルバム『ナイルの一滴』のレコ発ライブに行ってみようか、ということになったわけです。
とは言っても、アルバムが Amazon から届いたのが発売日の昨日の夜なので、 まだ忙しくてほとんど聴いていなかったのです。 まあ、それはそれで最初の印象がライブというのはいいことじゃないか… ということでそのまま会場へ行きました。
チャペルの中に入ると、中には夏の虫の音が響き、薄青く暗い照明で満たされていました。 その虫の音と明かりが消えて本人が登場。 周囲は物凄くたくさんの人がいるにも関わらず、完全な静寂。 数人先の息の音まで聞こえそうです。 こんな静寂で始まるライブはクラシックならともかく、 今まで経験がほとんどありません。 その静寂を破って、ライブはアカペラで始まりました。
この人は、 声がいいとか、音程が合っているとか、そういうタイプの歌い手ではありません。 あえて言えばとても大きな声で歌う人です。 しかし、この教会という独特の空間に集まる人々を声一つで掴みとったというか、 そういう感じがしました。
最初は完全なピアノソロ、そして途中から、女性のヴァイオリンが加わりました。 後で紹介があったのですが、 これは彼女の主な活動場所である、 高知のライブハウス「歌小屋の2階」の仲間である史香さん、だそうです。 そして意外だったのは『てろてろ』や『夕闇』のようなシングルのタイトル曲にもなっている静かな曲よりも、 『闇の現』や『ゼンマイ仕掛け』のような激しい曲において、 よりこの人の歌とピアノは美しく響くということです。 私はかなり金縛り状態に近くなりながら聴いていました。
MC はちょっと謎 (笑)。 ほとんどの曲は知らない曲でしたが、 それでも力強く歌われる歌詞に圧倒されながら聴いていました。 思い出したのは Cocco を最初にライブで聴いたときの衝撃です。 最後はギターで 2 曲ほど歌い、 「来てくれてありがとう……まいったか!」(えっへん) という感じで去っていきました。 はい、参りました (笑)。 こういう才能を持った人は何を言っても OK だよ。
アンコールは 2 曲。ラストは『てろてろ』でした。素晴らしい。 今度は『あばよ!』と去っていきました (笑)。 帰りに iPod であらためて『ナイルの一滴』を聴くと、確かにいいんだけれども、 ライブの迫力には残念ながら全く及びません。 …っていうか、これはロックだね。 高知県にもこういう才能がいたんだなぁ…。 私の未だ行ったことのない 8 県のうちの 1 つですが、 なんかちょっと身近な感じがしてきたぞ (笑)。
会場のグローリアチャペルもとてもよい場所でした。 とてもこの人のライブにはあった場所であったと思います。 またこの会場で、静寂の中でこの人のライブを聴いてみたいな、と思います。 唯一残念だったのは『ニーナ』がセットリストになかったこと。 少なくとも私が『ニーナ』を生で聴くまでは、あまり売れないでいて欲しいかも (笑)。 チケット取りにくくなるのは勘弁…。
12 月発売予定の DVD はどうもライブ盤らしいのですが、 今回もたくさんカメラが回っていたということで (まあ、それなりに邪魔だったけど)、 もしかして今回のライブが DVD 化かな? それはかなり嬉しいかも。 でも現場の雰囲気はやはり DVD では出すのは難しいんだろうな…。