2003 年 8 月 6 日 (水) 自宅

注意:
筆者はコピーコントロール CD (CCCD) に反対しています。 しかし一方、違法コピーや違法ファイル交換にも強く反対しています。 音楽メディアの販売業者は、 少なくとも copy once のデジタルコピーを消費者に対して許可するべきです。 それは音楽の楽しみ方を消費者に任せるということを意味します。 その意味で、SME などのレーベルゲート CD には一定の理解を示しますが、 現状ではオープン性に問題が大きいと考えます。 もはや、CD のような板に音楽を閉じ込めることはナンセンスです。 ネットワーク対応の適切な著作権処理機構を開発し、 その仕様を可能な限りオープンにした上で、 音楽を CD から解放してあげることが、 今後の音楽業界において絶対に必要な技術であるということを主張します。 もしそれが実現できずに結果的に音楽業界が廃れるのであれば、 それは違法コピーユーザや違法ファイル交換ソフトユーザの責任というよりも、 著作権という強大な権利を持ちながら、 それを十分に活かすことができなかった音楽業界自身の責任の方がより大きなものである、 と私は考えます。 新しい技術に適応できずに古い体質の業界が滅びることは、 ことさら珍しいことでもありません。

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『PX-W5232TU/NE PLEXWRITER Premium-U』

(Personal Computers, 2003-05-30)

昔から、高級 CD-R といえばやはり Plextor。 その Plextor が出した究極の CD-R/RW ドライブ、 それが Plexwriter Premium だ。 52 倍速書き込み、1GB 書き込み、 パスワードセキュリティなどの表面的機能ばかりではなく、 現状で販売されるほとんどの「エラーを含んだ偽 CD」に対しても、 安定したリッピングが可能なのも大きな特徴だ。


さて、実は突然、Plextor PX-W5242TU/NE Plexwriter Premium-Uを購入したのでありました (USB 2.0 接続)。 まあ、いくつも CD-R ドライブを買ってから結局 Plextor に落ち着くのは 2 度目かな〜? などという感じなのですが、 何を悲しくて今時たかが CD-R/RW ドライブに 2 万円も払うのかというと、 それにはきちんと理由があるのでありました。

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うん、カッコいいなぁ〜。

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付属ソフトは Nero 5.5。 しかしこのドライブ、本当に面白いのは Nero ではなく、 Plextor 独自のソフト Plextools Professional がついているのです。 まあ、詳しくはこの製品紹介ページを見てくれ。 Nero がなくてもほとんどの CD-R の操作ができるだけではなく、 メディア品質の測定、C1/C2 エラーの測定なども可能なのです。

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てなことで、うちのキューブマシンに接続。 このマシン、 キューブのくせにこれで 4 台の光学ドライブが接続されることになります。

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さて、ソフトをインストールしましょう。

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このドライブの特徴は (究極の CD-R ドライブと呼ばれることもあり) いろいろあるのですが、CCCD への耐性の高さにあります。 世の CCCD と呼ばれている各種フォーマットは、 ほとんどこのドライブの前では意味をなしません (少なくとも音楽トラックの吸出しは全く問題ありません)。

この Plextools Professional を用いて、 各種 CD の C1/C2 エラーを測定することで、 いろいろ面白い状況が見えてきます。

最近、原則 CCCD を採用する、 と発表していたレーベルからでてくる CD の、 CCCD 率が下がっているように思われます。 Avex に関しても、 Shela 『Garden』が CD-EXTRA で CCCD ではありませんし、 SME に関しても結局 CCCD でないアルバムが次々と出ています。 東芝 EMI は宇多田ヒカルや矢井田瞳、 鬼束ちひろなどの稼ぎ頭たちが CCCD 化に頑固に抵抗しており、 うれしい限りです。 とりあえず、音楽ファンの多くが CCCD に拒否反応を示したことが、 もしかしたら無駄ではなかったのかも知れません。 この調子で CCCD 自体なくなってほしいのですが…。

とりあえず、手元の CD を何枚か C1/C2 エラーの測定を行ってみましょう。 多くの邦楽 CD は C2/CU エラーは皆無、 C1 エラーがトータル 2000〜4000 程度が多いようですが、 特に一部の洋楽 CD にはひどい品質のものもあるようです。 これはEVANESCENCE "Fallen"。 C2/CU こそ 0 であるものの、C1 エラーは 30583 も発生しています (縦軸が入りきらなかったので、 このグラフは他のグラフと縦軸のスケールが異なっています。 他のグラフのほとんどは 30、このグラフは 50)。

典型的な CCCD (たぶん CDS200) のパターンをいくつか示します。 特徴は、エクストラデータトラックとの間の大きなギャップと、 音楽トラック全般に発生する大量の C2/CU エラーです。 しかし、これだけ激しく補正不能 (CU) エラーが出ているというのは、 結構ショックだなー。 余談だけれども、Michelle Branch 『Hotel Paper』の国内盤は、 最近もっとも腹が立った CCCD 化でした。 何と、当初 CD-EXTRA によるおまけつきと広報しておきながら、 いきなり直前に CCCD に変更という顰蹙ものの決定。 買うなら絶対 US 盤 (こちらは当初の予定通り CD-EXTRA でしかも安い)。 日本人をなめるな!

ところが、どうもエイベックス、最近少し妙な動きをしているらしい。 Cyber X 『Cyber X #01』の測定をしてみると、 なんと C2/CU の発生がゼロである上に、 C1 も優秀な通常 CD と同じような値なのです。 ためしに、CCCD を入れると必ず発狂していた、 Philips のドライブにこのディスクを入れると、 何と何の問題もなくリッピングできてしまいました。 これは…どう解釈したらいいのか? もしかして、これって「なんちゃって CCCD」なの?

…ということを調べるため、もう少し新しいエイベックスの CCCD を買ってきました。 島谷ひとみ『GATE -scena III-』。 これも同様に C2/CU がないのですが、 さらに不思議なことは、例の妙なエンコードされたエクストラトラックのサイズが、 あまりに小さすぎることです。 音楽トラックが 68 分ほどもあるのに、 エクストラトラックが 4 分しかない。 これではいくら圧縮しても、最盛ソフトに入れることは無理なのではないかと思うのですが…どうなっているんでしょう? しかも、ちゃんと Philips のドライブではリッピングできない…。 やはり「なんちゃって CCCD」ではないようです。

エイベックスは、CCCD の音質でいじめられたので、 エラーを減らす新しい技術を採用したのでしょうか? ちなみに私は CCCD の本質は私的複製の制限にあると考えているので、 音質は二次的なものと考えています。 したがって、音質の問題だけを解決したところで、 何ら CCCD に関する私の評価が好転することはあり得ません。

最後に、畠山美由紀。 『fragile』が CCCD で発売されたとき、 「何考えているんだ東芝 EMI。 こんなディスク好き好んでコピーするようなやつがどれだけいるんだ?」 と怒った記憶も新しいのですが、 ニューアルバムが CD-EXTRA でめでたく CCCD ではありませんでした。 ふう。 あまりに『fragile』の盤の質がひどい (C1=110592 で、ほぼ 3 セクタに 1 の割合で C1 が出ている) ので、このグラフも縦スケールが 200 (!) になっています。 これに対してニューアルバムの方は、もう最高!な状態。

しかし、こう見るとやっぱり CCCD はやめてほしいなぁ…。


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