このネタは書くか書くまいか迷ったのだが、 やはり書くことにしよう。
文句なしに人生で最悪のテレビ番組を見た。 あまりのひどさに何度別のチャンネルを見ようかと思ったものの、 このメディアの歴史に残るであろう大愚行を見届ける意義があると思ったので、 我慢して最後まで見た。 この番組のひどさ、低俗さ、悪質さ、稚拙さなどに関しては、 もうネットであまねく書かれているので、あえて私が列挙するまでもないだろう。
キャスターや現地レポーターたちによれば、 あの娘さんは日本の 15 才の同年代の女の子と比べて、 化粧っけもなく、政治問題などについて自分の言葉で語ることのできる、 しっかりとした娘さんなのだそうだ。ふーん。
10 年ちょっと前まで、 ドイツ民主共和国とドイツ連邦共和国という分断国家があった。 どっちがどういう国だったかは言うまでもない。 あえて「民主」なんて単語を名前につける必要のある国がそういう国だったということだ。 ベルリンの壁の間際の境界線映画館という場所では、 プロパガンダ映画がじゃんじゃん上映されていた。 一部を NHK 「映像の世紀」の DVD などで見ることができる (ちなみに、人生でもっとも素晴らしかったテレビ番組を挙げろと言われたら、 これを挙げたい)。
気味悪いくらい健全な若者たちが、境界線の向こうの堕落した若者たちと対比され、 いかに素晴らしいかを宣伝している。 そういう若者は、すらすらと「自分の言葉」で国家について、 党の方針に沿って語ってくれるよ。 問題は、それ以外の「自分の言葉」を持つことはできないということのはずなのにね…。
…てな程度のことは、 今や常識のある大人なら当然わかっているはずのことのはずなのだけれども…。 こんな使い古されたネタをそのまま受け取ることのできる程度のメディアリテラシーしか持っていない人が、 最大手のテレビ局の一つで、 レポーターやニュースキャスターなんて商売をやっていること自体が恐ろしい。 仮にそれを理解した上でやっているのであれば、 なおのこと救いようがない。