2001 年 1 月 21 日 (日) 自宅

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加古隆『NHK DVD-BOX 「映像の世紀」全11集』

(DVD, 2000-12-21)

今まで見たテレビ番組の最高傑作を挙げてくれと言われれば、 未だに迷わずこれを挙げるでしょう。 動く映像で見る21世紀の歴史です。
希望のなかで始まった新世紀。 第一次大戦によってわずか数年で確立する近代戦というスタイル。 ファシズムの誕生と市民大量虐殺。 核兵器の誕生。 冷戦の始まりと終わり。 民族紛争の拡大…。
21世紀が始まった今こそ、 前世紀の歴史の復習という意味でも、 ぜひ見たことのない方は見てほしい番組です。 私は今でもたまにこのDVDを引っ張り出して見ています。


『NHK スペシャル』ってのは、ときどき良い番組をやってくれるので好きです。 最近の『プロジェクト X』とかもそうだっけ? その中でも、私が珠玉の傑作だと思っているのが、 1995 年 3 月から 1996 年 2 月まで月 1 回で放送された『映像の世紀』です。 以前、VHS でテープが発売されているのは知っていたのですが、 あまりの値段の高さに尻込みしていました (確か、全部で 20 万弱ほどしたと思う)。

ということですが、このたび、やっと DVD が発売になったのです! 素晴らしい。 各巻 6,800 円で全 11 巻。 タワーレコードの i モードディスカウントチケットをフル活用して、 1 割引 + 大量ポイントカードで買ってきました。 で、約 14 時間、全部見たのですが…、これはやっぱりすごいです。

この番組、実際の映像で 20 世紀の現代史を振り返るという企画なのですが、 これだけの映像を世界中から集めてきて編集したスタッフに敬服。 それだけでも『プロジェクト X』一回分あげてもいいのではないかという物凄さです。 高校生等の若者には教育テレビで毎年流して必見にしてもいいくらいのものでしょう。

今これを見ると、たとえば第一次大戦後のハイパーインフレのドイツが、 経済問題や失業問題を解決した強い指導者ナチスに希望を託していった姿が、 実感としてよく分かりますね。 昔の人がバカだったからああいう愚かな決定をしたのではなく、 今も昔も人間は変わっていないから、 今もそういう決定をする可能性があるということが理解できるでしょう。 そういう実感を得る上で、やはり映像の力というのはすごいですね。

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ということで、全 11 巻。超お勧め DVD でした。

  1. 『20 世紀の幕開け −カメラは歴史の断片をとらえ始めた−』
  2. 『大量虐殺の完成 −塹壕の兵士たちはすさまじい兵器の出現を見た−』
  3. 『それはマンハッタンから始まった −吹き出した大衆社会の欲望が時代を動かした−』
  4. 『ヒトラーの野望 −人々は民族の復興を掲げたナチス・ドイツに未来を託した−』
  5. 『世界は地獄を見た −無差爆撃、ホロコースト、そして原爆−』
  6. 『独立の旗の下に −祖国統一に向けて、アジアは苦難の道を歩んだ−』
  7. 『勝者の世界分割 −東西の冷戦はヤルタ会談から始まった−』
  8. 『恐怖の中の平和 −東西の首脳は最終兵器・核を背負って対峙した−』
  9. 『ベトナムの衝撃 −アメリカ社会が揺らぎ始めた−』
  10. 『民族の悲劇果てしなく −絶えまない戦火、さまよう民の慟哭があった−』
  11. 『JAPAN −世界が見た明治・大正・昭和−』

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