2000 年 11 月 12 日 (日) 自宅

本日の読書。瀬名秀明『八月の博物館』。 言わずとした『パラサイト・イヴ』、『BRAIN VALLEY』に続く、 瀬名秀明の長編小説第三作です。 先端科学をベースにした今までの 2 作とは異なり、 小説、虚構、空想というモチーフをベースにしたストーリーです。 謝辞が故藤子・F・不二夫先生に捧げられているということもあり、 「のび太」というか、往年の漫画作品の登場人物を思わせる、 (作者が投影されているだろう)主人公の少年を中心に話が展開します。 少年が中心で、メタの世界が絡んでくるところは、 どことなくエンデの『はてしない物語』を想起させますが、 あの作品ともまた違った味わいがあり、 私は結構こういう作品は好きです。

ああ、前に取り上げた『[S]イツロベ』もそうだけど、 この作品もネタバレさせずに解説するのが非常に困難だなぁ。 作品中で出てくる『同調』という概念が、 実は小説というものを楽しみ、 咀嚼するときに人が行う行為であるんでしょうね。 久しぶりに『BRAIN VALLEY』も読み直してみようかな。

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