楽しい本に巡り合うことは本当に喜ばしいことだ。 この間は以前は厚さで敬遠していた京極堂シリーズを一気に読んで、 リーダーズハイ?を味わうことができて幸せ状態である。 というわけで、読書ジャンキーと化しつつある最近は、 とにかく次から次へと本を読みまくる日々である。
で、無節操に紹介する CD や映画とは異なり、 よっぽど気にいらないと本は紹介しないのだが、 今回は久しぶりに気に入った作品が出たので紹介しておく (一般的趣味かどうかは定かではないが…)。 篠田節子『聖域』である。
篠田節子の作品は、 私が感じるところでは、 好きな作品とそうでもない作品の差が激しく、 「つまらん」と思うものも一杯あるのだが、 たまにこういう面白いものを書いてくれるのでついチェックしてしまう。 関係者が精神に以上をきたしたりした結果、 文芸誌編集部に埋もれてしまっていた謎の未完の原稿『聖域』を巡り、 主人公の編集者が不思議な世界に引きずり込まれていく、という、 一瞬『幻詩狩り』や『イツロベ』のような世界を想像してしまうプロットだが、 どうもそうではないらしい、ということで、 どんどん引き込まれて一気に読んでしまった。 まあ、あまりネタバレするのもアレなのでこんなところだろうか。 お勧め。
ところで、 途中で押井守の前衛怪作『天使のたまご』がうまくモチーフとして使われているのが、 妙に懐かしかった。 そういえばあの映画、DVD は出ているのだろうか? もう一度観たいなぁ。 むむ、作者プロフィールを見るに 1955 年生まれ、 ということはあの作品が世に出たころは…、30 才位だったのね。 リアルタイムで観た世代なのかな?