1999 年 10 月 18 日 (月) 自宅

さて、長らく休んでいた最近の読書シリーズ。 久しぶりにいってみよう。

藤木稟『イツロベ』

さて、いきなり『イツロベ』だ。 だいぶ前に読了していたんだけど、ちょっとこれは消化不良を起こしている。 謎をどんどん広げるだけ広げて、 何だかわからないうちにラストを迎えるという構成は、 「エヴァンゲリオン的」といえばそんな感じだが、 良く読むと結構ちゃんと構成されている感じもしてくる (とりあえず、2 度読んでみた)。 でも異常な作品。

ストーリーはほとんど解説不能。 表面的には、アフリカにボランティアに行って、 不思議体験をしてしまった、 妙なゲームが好きな産婦人科医師の、 その後の不思議物語 (なんじゃそりゃ)。

「それはイツロベが近いからだ」って、 いったい、そもそも「イツロベ」って何だ? と思わせられるわけだけど、最後までしっかりとした解答は書いていない。 でもまあ、ちゃんと読んだ人なら、 何の言葉のアナグラムかはわかるよね (情報欠落はパターンマッチで補おう)。

評を言葉にしにくい作品だけど、 たぶん、 ネットワークでつながった集合的無意識の顕在化こそが次のイツロベであって、 その副産物としてこの世にル・ルイが出てきているということなのかもしれない。 まあそんな寓意はどうでもいいや。 面白い。 わけわかなストーリーの謎解きの好きな人、 Mathematica を使うのが好きな人、 中目黒近辺に住んでいる人、 以前エヴァンゲリオンにはまった人、 ひそかにつげ義春が好きな人、 って感じの人にお勧め。

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梅原克文『カムナビ』

なんか四文字シリーズという感じで、次は、『カムナビ』いってみよう。 この作者の作品は以前、『二重螺旋の悪魔』というものを読んだことがあるんだけど、 相変わらずムチャクチャな科学考証がとってもいい (肯定的評価)。 特に、前作よりもずっとトンデモ度が増しているという点は高く評価しよう。 これを読むと、高橋克彦の『龍の棺』あたりの一種ストイックなトンデモ度が、 全然格が下に見えてきて面白い (だって、高橋克彦ってマジメなんだもん)。

人物描写の徹底的な弱さという欠点を差し引いても (特に前半、主人公、女にあまりに果てしなく弱すぎ。 君、少しは学習しなさい)、 特に後半にあたる下巻は結構面白い。 あと、遠当ての衝撃波でソニックディスクができるなんて描写、 先日『マトリックス』観たばかりのワシにはわくわくするぢゃないの。

というわけでなんだかんだ言って、神道ネタのトンデモ系小説は好きです。 その点は『龍の棺』と同様 (でも『続・龍の棺』はいただけない)。

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『新オレモリ』『ROCKIN'ON JAPAN』

というわけで、10 月 27 日にニューマキシシングル『本能』発売ということで、 再び椎名林檎嬢のメディア露出頻度が上がってきました。 しかし、なんというか、学園祭ライブの「学舎エクスタシー」、 昭和女子大と立命館に挑戦したのですが、 全てチケット入手全滅しました。 誰か余っていたら譲ってくださいませ…うう。 日本中どこでも行きますです。

というわけで、『オレモリ』と『ROCKIN'ON JAPAN』、 どちらもいい特集やってます。 『オレモリ』は雑誌自体のノリが好きなんだけど、 特集自体の評価という点では、ページ数と写真の物量作戦 (しかも普段の倍ぐらい刷ってないか? 渋谷の HMV では平積み山 4 つ + 2 つくらいあったけど…) の『ROCKIN'ON JAPAN』の勝ちかな? でも背表紙に「目指せロッキングオンジャパン、 盛り上がったり盛り下がったり忙しい音楽雑誌、 新オレモリ 2 号」なんて書いたりするオレモリ、好きだぜ!

ちなみに、 ROCKIN'ON JAPAN の表紙と巻頭特集のバリヤバ林檎嬢、 写真はアラーキー先生謹製です。 さすが…。 さらに、記事には本人による今までリリースされた全曲の解説が載ってます。 濃いです。

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ほそかわ たつみ <hosokawa@FromTo.Cc>
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